かんとこうブログ
2026.05.02
もう一度3月のトルエン、キシレン生産量、出荷量について
二日前に経産省速報の数字をご紹介した折に、トルエン、キシレンについて詳しくご紹介するのを忘れていましたので、生産数量、出荷数量をあわせてご紹介します。まずは2023年1月以降の生産数量と出荷数量のグラフからご覧ください。

2026年3月の生産数量、出荷数量ともかなり低いレベルであったことは間違いありません。トルエンについては、この3年3カ月で最少出荷量でした。キシレンの方は、2026年3と同じ程度の出荷量がこの3年3カ月において、今回以外に4回ありました。
実際の数値を一覧表で示します。

右下に2026年3月の生産数量、出荷数量について前年同月比と前月比を載せております。生産数量はともかく、我々の最も関心のある出荷数量でみると、前年同月比でトルエンが79.0%、キシレンが88.2%、前月比ではトルエン73.3%、キシレン87.4%といずれも9割未満の数値となっています。これらの数値から、やはり3月のトルエン、キシレンの塗料製造会社への供給は、通常よりも少な目であったと思われます。
ただし、これで全部が捕捉されているのかについては不明点がいくつかあります。経産省の統計ではキシレンのほかにオルソキシレンという項目があります。さらにパラキシレンもあります。パラキシレンはPET樹脂原料用と思われますので除外してもよいのではないかと思いますが、オルソキシレンはどう扱うべきかわかりません。量的にはキシレンの1/10程度です。
さらにわからないのは、エチルベンゼンの扱いです。少なくとも私が塗料メーカーで働いていたころのキシレンは、エチルベンゼンが約半量程度含まれていました。すなわち塗料用キシレンは、キシレンとエチルベンゼンの1:1の混合物でした。石油化学工業協会の統計にも経産省の統計にもこのエチルベンゼンが見当たりません。キシレンに含まれているのか、それとも別に存在しているのか?ちなみにキシレンとエチルベンゼンは、分子量も同じ、沸点もほぼ同じ、化学的性質も似たようなもので、化学反応をさせない限りキシレンと同じように使用することができます。
ところで、今日の朝刊に原油を積載したタンカー11隻がホルムズ海峡を通過しない経路で日本に向かっているという記事が載っていました。標準的な原油タンカー(VLCC)の積載量が200万バレルですので、11隻で2200万バレルになります。これは日本の1カ月の石油需要約1億バレルの2割強にあたります。世界的にアメリカや南米などで原油供給能力を高めているとは言え、世界中で争奪戦となっている中でどれほど確保できるのか不明な点もあると書かれていました。やはりホルムズ海峡が安全に通過できるようにならないと元の世界には戻れないのでないのかもしれません。