かんとこうブログ
2026.07.31
洋上風力発電について調べたこと その2
昨日に続き、今日は洋上風力発電について、世界の現状と今後の予想および日本の洋上風力発電の配備計画などをご紹介していきたいと思います。
目を世界に転じると、世界は日本よりも一歩も二歩も進んでいるようです。自然エネルギー財団の資料(下記URL)から引用してご紹介します。環境先進国であるヨーロッパでは下表のような洋上風力発電の計画となっています。数値的にはそれぞれの国単位では、日本の計画である「2040年において30~45GW」とたいして変わらないように見えますが、2030年時点ですでにヨーロッパ全体で洋上風力能力が111GWに達する見通しになっています。 一方、日本の計画では後述するように2030年時点でもまだ6GWに達しない水準となりそうです。
https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_OW2025_infopack.pdf

一方世界全体における新規導入量を見ると、国別では中国が断然のトップあり、全体では中国とヨーロッパ全体が拮抗する状態であることがわかります。2030年時点で、ともに新規導入発電量が20GW付近/年に到達しており、他の国や地域を圧倒しています。このように、現状および計画において世界は急速に洋上風力発電の導入を行っていく計画になっており日本をはるかに凌駕する勢いです。

一方、これからの日本の洋上風力発電配備については、資源エネルギー庁の詳しい資料(下図)がありました。昨年9月のものですでに少し古くなっていますが、2030年までに運用開始が予定されているものはすべてリストアップされています。

字が小さくなってしまい見にくいと思いますが、2030年までに運用開始予定の促進区域(臙脂色字)、その次に実現性が高い有望区域(肌色字)、今後具体化される可能性のある準備区域(薄緑色字)の3段階の計画区分になっています。有望区域までは発電能力の数字が入っています。浮体式については、ほとんどがまだ準備区域となっています。
注目すべきは、促進区域の②③④の三菱商事案件です。残念ながらこの3件は三菱商事が違約金を払って事業中止を発表してしまいました。世界的な資材および建設費の高騰により事業化のめどが立たないという理由でした。この3件の中止により、2030年までに運用開始ができそうな洋上発電能力は、当初の5.7GWから1.7GW減少し4.0GWになっていると思います。さらにこの影響が今後の洋上風力発電に関して波及する恐れがあるのではと懸念されます。
最後に発電コストの比較をご紹介したいと思います。さまざまな再生エネルギーについての試算を経産省が行ったデータ(下記接続先)です。
この試算は、 2023年と2040年に発電設備を新設・運転した際のkWh当たりのコストを、一定の前提で機械的に試算したものであり、「実際の設備の運転コストではない」こと、「2040年に向けたエネルギー政策の議論の参考材料として計算したもの」とされていますが、参考にはなるとは思われます。2023年の試算では洋上風力は地上風力よりもかなり高いコストとなっていますが、2040年を想定した試算では、地上と洋上の差はなくなりむしろ洋上の方が少し安価となっています。

先に紹介した新エネルギー財団の資料にはこの洋上風力発電が事業として成功するための条件として以下の3つが挙げられています。

このうち第3の電力系統の整備に関しては、自然エネルギー財団の資料の中に電力系統のマスタープランが載っていました。(下図)2030年までに北海道と本州の間に2GWの海底送電線を設置するとされています。

2050年のカーボンニュートラルにむけてエネルギーの再生可能化が進められていきますが、中でも洋上風力は最終的には非常に大きな役割を担うことになりそうです。その実現のためにも現在予定されている既存の計画が順調に進むことを願わずにはおられません。