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かんとこうブログ

2020.06.15

アジサイが青くなる理由

雨に咲く花アジサイ、梅雨の季節の花といえば真っ先に名前があがるのがアジサイです。アジサイには青と赤があって、それが植えられている土壌に起因しているというのはかなり広く知られたことのようです。土壌が酸性だと青、中性からアルカリ性だと赤になるのだとどのサイトでも書いており、その違いはアルミニウムを吸収するかどうかだと書いてありますが、それ以上の詳しい説明はあまりお目にかかりません。今日はなぜアルミニウムを土壌から吸収するアジサイの花(がく片)が青くなるのかについて書きます。

 青くなる理由は、土壌が酸性であるとアルミニウムが土壌中の水に溶けだし、根から吸い上げられて花びら部分を形成する「がく片」まで移動し、アントシアニンと錯体を形成するからだと考えられてきました。アントシアニン、今年2月のブログで紹介した紅梅の色素であり、桜の色素でもあり、条件によって色が可逆的に変化するクロミック色素でもあります。しかし、青い色がどのような構造を有するのか詳しくは解明されていませんでした。

 このアジサイの青色について構造が解明され、実際の「がく片」から取り出すことに成功したと、名古屋大学の研究者から発表があったのは昨年4月です。

http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20190402_i.pdf

 少し説明は難しくなりますが、この資料には研究成果について、以下のように説明されています。

 「名古屋大学大学院生命農学研究科の青木講師と情報学研究科の吉田教授の研究グループは、酸性土壌で咲くアジサイの青色の花の色素について研究を進め、アジサイの青色はアントシアニン単独で発色するのではなく、アントシアニンとアルミニウムイオンの錯体形成、さらに助色素の存在が必要であることを突き止めました。さらに、これらアントシアニンとアルミニウムイオン、助色素を試験管内で混合し再現し、その組成比が111であるとの推定構造を導き出しましたが、実際にそれがアジサイの花に存在しているかの確認はできていませんでした。今回(昨年4月)、アジサイの花(がく片)を-160で凍結し、その断面を低温-飛行時間型二次イオン質量分析計で測定することで、青色の存在する部分だけにこれら3成分からなる錯体の存在が確認できました。」

アントシアニンと助色素および青色アジサイの色素の化学構造を下の図に示します。

 これで、アジサイの青色色素の化学構造が解明され、疑問が氷解したかというと実はそうではありません。まだ疑問が残っているのです。それは、酸性土壌でのみアルミニウムが土壌中の水分に溶解して、アルミニウムがアジサイに吸収されるという説明についてです。アルミニウムは、両性金属と学校で習いました。アルミニウム単体または酸化物や水酸化物が酸とも塩基とも反応します。実際アルカリにも溶解します。でもネットのアジサイの花の色の説明サイトでは、皆一様に酸性土壌ではアルミニウムが溶解するが、中性や(弱)アルカリ性では溶解しないため・・などと書かれています。これはなぜなのか?

 日本の土壌についてのpH分布図がないか調べてみましたが、全く見つかりませんでした。しかし、調べを進めていくうちにこんな説明に行き当たりました。

 日本農研機構 土壌のインベントリーより、「暗赤色土 暗赤色の次表層をもつか、石灰岩あるいは「石灰質堆積物」に由来する土壌で塩基性の土壌である。~中略~ 石灰性暗赤色土・・石灰岩あるいは「石灰質堆積物」に由来し、次表層のすべての亜層位でpH5.5以上」石灰岩由来の土壌でも、全然pHは高くないようです。ひょっとすると日本の土壌のpHは、全般に7よりも低いのではないかと想像されます。

 ならばと思い今度は「アルカリ土壌」を調べてみました。世界大百科事典では、アルカリ土壌とは以下のように説明されています。 「土壌反応pH8.5以上の強いアルカリ性を呈する土壌,または交換容量(土壌が吸着しうる交換性イオンの合量)15%以上を交換性ナトリウムで占める土壌をいう。大陸温帯の年間降雨量が600mm以下の乾燥気候下の塩類集積した低地によくみられる土壌で,日本には分布しない。」 強アルカリ土壌は日本には存在しないようです。

 実際の土壌のpH分布図でもない限りあくまで推論に過ぎませんが、日本は火山由来の土壌が多く、全般に酸性土壌が多く、強アルカリ土壌は存在しない。従って、アルミニウムが溶解するためには、酸性土壌であることが条件となり、中性や弱アルカリでは溶解しないという説明になったものと考えられます。これはまだ推論に域をでません。もし御存知の方がいらっしゃれば教えていただけると幸いです。

 最後にもうひとつ。書き忘れてしまいましたが、白いアジサイは、品種改良によりアントシアニンをもっていない品種なのだそうです。アントシアニンがなければ、赤くも青くもならないわけですね。

本日の内容は、元関西ペイント株式会社の中畑顕雅氏より紹介されたWEBサイトから着想して書き始めました。情報提供に感謝いたします。

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