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かんとこうブログ

2021.10.14

再び総雇用者所得について

昨日なんとも中途半端な記事を書いてしまいました。総雇用者所得について、就労者の動向などもう少し調べてみましたのでご紹介したいと思います。まず昨日の総雇用者所得の推移においては、全体的に増加傾向であったのは雇用者が増加したことの寄与が大きいとしていましたが、実際のところどの程度増えたのでしょうか?

この図は総務省統計局の資料をもとに、15歳以上の人たちについて就業者と非就業者の推移グラフ化したものです。確かに就業者が増加しており、2010年から2020年の10年間で378万人増えました。全体の人口が減少する中で就労者が増えているため、15歳以上の就労者割合は2010年の58.5%から2020年の61.3%まで2.8ポイント増加しました。

それでは、この就労者の増加は年齢層や性別でどのように増えたのかあるいは減ったのかを見てみましょう。

いすれも横軸は2010年から2020年までの期間、縦軸は最大値を1000万人として推移を表しています。男子を見ると明らかに増加した年齢層は3つあり、15-24歳、45-54歳、65歳以上です。明らかに減少傾向の年齢層は25-34歳、35-44歳であり、減少から横ばいが55-64歳となります。

女子も基本的には男子を同様な傾向にありますが、男女を比較すれば15-24歳を除いて女子の就労者数は男子よりも少ないことがわかります。それぞれの年齢層の増減について理由を考えるには、各年齢層の人口や就労率も見る必要がありますので、次に各年齢層の人口を示します。

日本の各年齢層の人口は二つのピークがあることがわかります。一つは70歳前後の団塊の世代であり、もう一つは45-49歳の団塊ジュニアの世代です。この団塊ジュニアの世代より若くなるといずれも人口減少が続いています。

さらに各年齢層の就労率を見るといよいよどのような人の雇用が増えたのかが明らかになります。

左が男子の就労率の推移、右が女子の就労率の推移です。2010年から1年おきに推移をプロットしてみました。

男子の場合には、25歳から55歳までは極めて高い率であり、この10年間で目に見える変化はありません。わずかな変化は赤丸で示した20-24歳と55歳以上の就労率です。線が重なったおり見えにくいかもしれませんが、最近になるほど就労率が高くなっています。

女子の場合にはこの傾向がさらに顕著であり、ほぼ全部の世代でグラフから明らかに見て取れる程度にまで就労率が上がっています。特に上がり方の多いのは、従来就労率の低かった子育て世代である30代と55-64歳の中高年層です。

これでデータが出そろいましたので、先ほどの年代別就労者数の増減について考察してみましょう。

男子の場合には、 明らかに就労者数が増加した年齢層は、15-24歳、45-54歳、65歳以上 でした。このうち45-54歳においては就労率の変化はありませんので、これはこの年齢層の人口が増えたためと推測されます。60-64歳の増加については明らかに定年延長の影響と思われます。問題なのは20-24歳の年齢層です。大学進学率を調べてみましたが、少なくとも減少はしていません。またこの年齢層の人口が増加していることもありません。となると大学からさらに上へ進学する人が減ったのか、あるいは学業の傍らある程度の時間数働くようになったのか、などが考えられますが、いずれも推測の域をでません。

また男子のなかで就労者数が減少した年齢層についてはいずれも、その年齢層の人口が減少したためと推定されます。

女子の場合にはほぼすべての年齢層で就労者数が増加していますが、これは就労率がすべての年代で増えていることが一番の要因であり、男子の場合とは異なります。各年齢層の人口は男子と同様ですので、就労者数の推移において増加に対しての寄与は、45-54歳の世代以外はありません。

以上の結論として、昨日ご紹介した総務省のコメント「高齢化(団塊世代の退職)に伴う男性現役層の減少とともに、一般的に男性現役層に比べて平均賃金が低く、労働時間の短い、非正規の女性や高齢者の労働参加率の高まりが背景。」というのは正しいということになります。ただし、こうした傾向が本当に望むべき姿なのかは別な話で、働き方改革の名のもとで、こうした傾向が強まることについては疑問を持たざるを得ません。

最後の労働分配率のデータをお見せします。

働分配率は、大企業ほど低く、中小企業ほど高いと言われていますが上の図はそれを如実に表しています。さらにもう一つ重要なことは、この労働分配率は好況期には低くなり、不況期には高くなるということです。2008年から2009年にかけてのリーマンショック時には大企業といえども労働分配率が跳ね上がりました。
こういう事情があるため、時として政権は労働分配率よりも総雇用者所得をより重視するという話を聞いたことがあります。総雇用者所得を指標とすることに異議があるわけではありませんが、現金給与支給額が減りつつも雇用者増で総雇用者所得がプラスになっている現状には素直に喜べない気がします。岸田総理の手腕に期待したいと思います。

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