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かんとこうブログ

2023.03.29

消費者物価指数の推移にみる費目ごとの動向 その2

昨日の続きです。昨日は消費者物価指数のうち総合指数と総合指数よりも上昇の大きかったものをご紹介しました。本日はその他の費目についてご紹介します。

消費資質におけるウエイトの大きさで言うと家賃という項目が食料品についで2番目のウエイトを占めています。その家賃と被服費について下図に示します。この二つの費目はいわば物価の優等生であり、昨今においても大きな上昇は見られていません。

左が被服費、右が家賃です。物価指数は2023年2月の数値で被服費が103.2、家賃が100.2です、家賃のウエイトは1833ととても大きいのですが、ここには持ち家のローンも含まれているようです。家賃はこの20年余りのなかでむしろ下降傾向にあります。

一方被服費は季節の影響が大きく、春秋に上昇し、夏冬に下降します。その幅は物価指数にして5ほどあります。振幅の中心線を辿れば、決して総合指数を上回る上昇があるようには見えません。次は保健医療費と自動車関係費です。この二つも昨今の物価上昇とは関係のない動き方をしています。(下図)

2023年2月の物価指数は保健医療費が100.3、自動車関係費は104.6です。興味深いのは、保健医療については20年あまりの中で2回ほど明確は急劇な上昇がみられますが、これは医療保険の個人負担割合がアップしたことによるものです。医療費については医療報酬と毎年薬価が見直されており、医療費の抑制が行われていますので、物価上昇には関係しないと言えます。自動車関係費もいわば景気と連動しているように見えます。自動車関係費の中の最大のものは購入費用ですので、景気不景気や消費税の上昇には敏感に連動するようです。

次に教育関係費と教養娯楽費です。これは1枚のグラフに二つの線で示してあります。(下図左)

教育関係費は子女の教育費用で最大のものは授業料になります。また教養娯楽費は文字通り教養と娯楽のためにものですが、いずれも特徴的な推移を示しています。2023年2月の教育関係費の指数は101.3、教養娯楽費の指数は103.4と両者とも総合指数を下回っています。

教育関係費のうち半分以上は授業料ですが、この教育関係費は2回の大きな下落を示しています。これは高校の授業料の実質無料化で最初が国公立、2番目が私立高校の授業量実質無料化が実現された時期です。この2回の高校授業料の無料化のおかげで教育関係費は以前よりも低い状態にあります。

一方教養娯楽費は季節的に大きな変動があり、調べてみると支出の多い月は5月、8月、10~12月であることがわかりました。ここから教養娯楽費のうち旅行や外出が大きな割合を占めていると推測されます。また教養娯楽費は、アベノミクスによって回復してきたように見えます。教養娯楽費と全体的には似たような動きになっているのが家具・家事用品です。通信費用と併せて下図に示します。

2023年2月の指数は、家具。家事用品が109.2,通信が71.2でした。家具・家事用品は、さきほどの教養娯楽費と似た推移を示していますが、両者に共通するとすれば、家計にゆとりを感じられないと支出しにくいということではないかと思います。その意味ではこの両者が2012~2013年頃を底として回復してきていることは消費意欲が必ずしもずっと低迷したままではないとも考えられます。

一方、通信の挙動はきわめて異常とも見えます。ですがこれは菅元総理が携帯電話料金の価格を下げるよう指示したことによるものと推測されます。指数が一挙に30以上も下落していますので、その効果が明確に現れているものと思われます。

以上、今日は昨日とはことなり、総合指数に比べて上昇幅の小さい費目についてご紹介しました。全体指数ではよくわかりませんが、費目ごとの指数の推移を見ると様々な政策や制度変更によって影響をうけていることがよくわかりました。以上で消費者物価指数の紹介を終わります。

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