かんとこうブログ
2026.04.23
業況観測アンケート3月の結果が発表されました!
昨日日塗工から業況観測アンケート3月分の集計結果をいただきました。組合員の皆様にはすでにお送りをしております。この3月の業況観測アンケートは塗料業界にとって非常に重要な意味があります。言うまでもなく3月はイラン情勢不安からホルムズ海峡封鎖が開始された月であり、塗料製造業にとっては溶剤の供給が細る中で顧客からの注文に十分応じることができず、苦しい状況が始まった月であるからです。
アンケートの結果は、出荷数量103.0%、出荷金額107.4%といずれも前年を超えました。分野別に見ても6分野すべてが前年同月超えであり、どこから見ても前年同月を超えた量の塗料が出荷されたこと、最近1年間の中では前年同月比で最多数量の塗料が出荷されたことは間違いないと思います。

しかしながら、それでは身内に甘いとのそしりを受けかねませんので、このデータ結果を色々な角度から眺めてみたいと思います。最初の観点はデータの信頼性です。こんなことを書くとこの統計に携わっておられる方が気を悪くするかもしれませんが、実のところこの統計の何たるかを知っている人は多くありません。この統計はあくまで前年同月比が唯一のデータです。実際の出荷数量や出荷金額が集計されているわけではありません。しかし、私はこの業況観測アンケートはそれなりに信頼のおける統計データであると思っております。その理由は、これから約1カ月おくれて発表される経産省の生産動態統計調査(速報、確報;こちらは実数で集計)とよく一致しているからです。
下図をご覧ください。左は出荷金額の前年同月比、右が出荷数量の前年同月比です。1か所(昨年11月の数量)を除きよく一致しています。

昨年の11月については、土・日・休日の数が前年より2日も少なかったのです。このため多くの企業で出勤日の数が例年より少なかったのではないかと思われます。こうした前年と出勤日数が2日以上異なる場合には、景況感ではさほどでなくとも出荷数量では大きく差が出ることを実際に何回か経験しています。ですので、今回の3月の数値にはそういった誤差要素が含まれていません。(因みに土・日・休日の数は昨年より一日少ない日数でした)
次の観点は、前年同月比というのはあくまで前年の同月が基準であって、本当に前年同月を基準と考えてよいかという議論です。それについては二つのグラフで昨年3月が特別な月ではなかったことを示したいと思います。一つ目は純出荷数量の推移です。残念ながらこのところ同業者向け出荷を除いたユーザーへの出荷数量は減少の一途です。2025年3月は一次回帰線のほぼ線上にあり、いかにも平均的な月と言えます。また同業者間で在庫をもちあって隠したという疑いも晴らすことができます。(下図は経産省確報のデータをもとにしているのでまだ3月分は数値がありません)

さらに次のグラフは、2018年の各月を100としてそれから順に前年同月比を掛け合わせて(累積)得られた数値をプロットしていったものです。推移は各月ごとにことなりますが、大筋において挙動は似通っています。12月~3月の各月では以下のようになっています。これをもっても2025年3月がが特異的な月ではないと言えると思います。

以上ご紹介したように3月に出荷数量、出荷金額に前年同月比がいずれも100を超えたことから、塗料メーカーは前年の同時期よりもたくさん塗料を出荷したことは間違いありません。ただし生産数量、在庫数量と合わせてみないと本当のところはわかりませんので、5月中旬の確報発表まで待つしかありません。それにしてもホルムズ海峡封鎖の長期化は憂慮されます。なんとかホルムズ海峡の開放を祈るのみです。4月は出荷数量が3月よりも減少しているのではと予測しています。