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かんとこうブログ

2026.06.03

石化製品における塗料用溶剤のシェア

昨日のブログにも書きましたが、石化製品における塗料用溶剤がどのくらいあるのかをもう一度計算してみたいと思います。とは言え、トルエン、キシレン以外に出荷数量、生産数量が公表されているものは多くありません。塗料ではどんな溶剤が使用されているのかとともにご紹介していきたいと思います。

下表をご覧ください。下表に挙げた溶剤とそのVOC量は、(一社)日本塗料工業会 「2024年度 塗料からのVOC排出実態推計のまとめ」から引用しており、塗料および希釈用シンナーに含まれる溶剤量を推定した数値です。出荷量は経産省確報から、生産量は日本石油化学工業協会の年次統計資料「石油化学製品の生産」からそれぞれ引用しています。

VOC量に対し洗浄などに使用する量を多めに2割として見積もっています。

塗料にどのような溶剤がどれくらい使用されているかなどということは普段あまり考えたことがありませんが、実は最も多いのは石油系炭化水素で、トルエン、キシレンよりもさらに分子量が大きく、沸点も高い溶剤が最も多く使用されています。石油系炭化水素は溶解力と蒸発速度、コストなどのバランスの良さから重用されていると思われます。次がキシレンとエチルベンゼンで、通常区別せず一括してキシレンとして使用されており、両者を足した数値は先ほどの石油系炭化水素を上回ります。3番目はトルエンですので、こうしてみてくるといまだに芳香族炭化水素が多く使用されていることがわかります。(右図)

そうした塗料溶剤が占めるシェアは、一昨日ご紹介したように決して高くありません。ブタノールやメチルイソブチルケトンのように比較的シェアの高いものもありますが、全体的には、出荷数量の数パーセント、生産数量に対してはさらにその半分というところではないでしょうか? 要するに、溶剤製品における最重要顧客ではないということです。

このところお伝えしてきているように、今回のナフサ不足による石化製品の供給量減少の中で塗料製造業は、溶剤の確保に苦労しながらも3月4月とも前年同月以上の出荷を行いました。カーボンニュートラルを見据えれば、将来石油系の原料に依存する製品系列の変換が必要になることは自明です。グリーンナフサに期待する面もあろうとは思いますが、先日触れましたように、果たして芳香族系の原料が十分に得られるのかは不透明です。中東情勢不安を奇貨として、脱石油の取り組みを進めるべきと言うのは早計に過ぎるでしょうか?

追記:この原稿を書いた後で、昨日高市首相から、「塗料・シンナーの目詰まり解消のため、従来の石化、商社以外に石油元売りからのル―トを強化し、最大で例年の1.8倍供給拡大を図るので、国内平時の需要を大幅に上回る塗料・シンナーが大量に供給されることが見込まれる。」という内容の発表がありました。本日のブログでご紹介したように、塗料、シンナー用途はトルエン、キシレンの出荷数量のうちの数%にも満たない量ですので、こうした措置をとることも可能であろうと思われます。塗料業界にとってはありがたいことで、政府のご配慮に感謝申し上げたいと思います。ただ、トルエン、キシレンだけが多く供給されるようになっても、他の原料も同様に多く供給され、塗料の生産設備と人員もそれに見合うものが整わなければ例年の1.8倍の塗料を製造することはできません。今度は塗料製造業が知恵を絞る番になりそうです。

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