かんとこうブログ
2026.06.08
マンジャロの作用機序と構造式
今話題となっているマンジャロについて、あまり報道されていない面からご紹介したいと思います。マンジャロは、Ⅱ型糖尿病の薬として認可され、広く使用されていますが、減量効果があるという一面があるために、医療目的以外で販売されているケースがあり、問題として取り上げられています。
この薬の作用機序については、下図のように説明されています。検索の一番上にでてきた「内科総合クリニック人形町」のサイトから引用させていただきました。
https://ningyocho-cl.com/diet/diabetes-care/hba1c-control/mounjaro-mechanism-gip-glp1-blood-sugar/

マンジャロの薬剤としての名称は「チルゼパチド」です。この薬が画期的なのは、従来1種類のGLP-1というインクレチンホルモンだけに作用する薬剤しかありませんでしたが、この「チルゼパチド」はさらにもう1種類のGIPというインクレチンホルモンにも作用することができる点です。インクレチンホルモンは、血糖を細胞にとりこませ血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを分泌を促進する消化管ホルモンの総称です。
GLP-1とGIPの二つのインクレチンホルモンが同時に働くと相乗効果が現れ掛け算のように効果が高まるため、血糖値の上昇を強力に抑制できると説明されています。
さてこれで作用機序はわかりました。次は構造式です。化学屋の端くれとしては大いに興味がありました。というのもこの「チルゼパチド」は、分子設計をキチンと行い系統的に検討していく中で発見されたであろうことが推測される薬剤だからです。
その構造は以下のように説明されています。図は薬学オンライン(下記URL)より引用させていただきました。「内科総合クリニック人形町」さんの説明とあわせてご紹介します。
https://www.yakugaku.online/wp-content/uploads/2024/11/IMG_1003.jpeg

ターゲットとするDLP-1およびDIPとの親和性をもたせ、さらに(アミノ基と結合していない)脂肪酸を増やすことで体内での半減期を延ばしたと説明されています。上右図に緑丸の記号の説明に書かれている「エキサチナド」とは従来のGLP-1受容薬です。こうした過去の知見を交えて、さまざまな分子構造を考えては試験し、最適解を基求めていったものと推測されます。今はおそらくコンピューターによる結果のシミュレーションも可能でしょうから、そうしたことも大いに活用されていることでしょう。
翻って塗料の世界をみると、なかなかそうした動きが見えません。長期間の試験を要する耐候性や耐食性については、これまでのデータを総合的解析してある程度シミュレーションが可能なのではないかと思っています。2000年台に入り、研究成果の発表や特許出願件数が減少しています。成熟産業ではあるものの、2050年のカーボンニュートラルを考えれば、やらなければならない技術的な課題は多いはずです。AIを使った塗料設計など検討に値すると思うのですが、すでに研究は始まっているのでしょうか?