お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2026.08.10

3月以降の原油の輸入・消費動向の統計数値

2月末のホルムズ海峡封鎖以降、これまで当ブログではナフサ、基礎石化製品、塗料の需給動向について様々な統計資料をご紹介してきましたが、原油についてはほとんど触れず仕舞いでした。その理由は、塗料の原料との関係がナフサほど深くないというのが唯一の理由でしたが、広い意味では、例えばガソリンの供給などはもちろん塗料業界にも大きな影響があります。そうした意味で、この3月以降における原油の需給がどう変わっていったのかについて統計数値をご紹介したいと思います。

最初は原油の輸入量、消費量(精製量)の推移です。データは石油統計の確報および速報です。国内生産原油量が輸入原油量に比べて極めて小さいので、輸入量と消費量(精製された量)は、通常ほぼ一致しています。しかしイラン情勢不安により、原油輸入量は4月、5月と大きく減少しました。

しかしながら、ナフサと異なる点は原油の消費量(精製された量)は減少しなかったことです。原油消費量から輸入量を引いた数値を下右図に示しますが、4月で600万KL、5月でも400万KL弱も差があります。この差がどこからくるのかと言えば備蓄原油の放出です。

備蓄原油量の推移を下図に示します。(データは資源エネルギー庁の備蓄統計)石油備蓄は2025年の平均水準で約250日分、数量にして7000万KLあります。下左図では2026年3月以降備蓄量が減少しているのがわかりますが、全体に対する割合は大きいとは感じません。しかし縦軸を変更(下右図)すると、2月末時点と6月末時点では1297万KL(44日分)減少したことになります。この数値は、おおよそ1月分の原油輸入量を上回るほどの量です。

公式には「4月末時点で、国家備蓄は248→210日分(合計)へ、合計保有量は約7,300→6,159万klへ減少した」と報告されています。まだ発表が追いついていないのですが、4月末から6月末までの2カ月で200万KL減少していますので、この200万KLを考慮すると、この間の消費量と輸入量の差分にほぼ一致します。すなわち不足分は備蓄で賄われ、ガソリンはじめ石油精製製品は例年どおりの数量が供給されたということになります。

参考までにナフサの需給の図を示しますが、ナフサは備蓄がありませんので、輸入が減少した分だけ国内販売量が減少し、石化製品の供給量が低下しました。下右図でナフサの国内生産が3月以降も減少していないことは、原油の供給が3月以降も減少しなかったことを示しており、上述の原油消費量の推移と一致します。

再び原油の輸入量に話を戻します。6月の原油輸入量は、かなり回復し、1000万KLの大台にのりました(下左図)。ほぼ例年の水準と言ってもよいと思われます。しかしどこから輸入されたかについては以前とはだいぶ様相が異なっています。下右図で示すように依然として中東がメインであることは変わりませんが、その割合は低下し、代わって北米が大きな割合を占めるようになりました。

下左図は2026年6月の原油輸入元の内訳です。中東の割合が6割強まで減少し、北米(実質アメリカ)が約1/3を占めるようになりました。原油の輸入については数量的にはほぼ前年並みになったものの、輸入元もそれから価格も同じではないということです。

アメリカ原油はよく言われているように、軽質成分が多く、ナフサの留分にしてもBTXが少ないと言われています。原油の精製は、原則ガソリンの生産が最優先ですので、BTX成分のことを勘案してはくれません。その点は塗料製造業としては一抹の不安があります。

ホルムズ海峡をめぐる情勢は以前不透明です。しかし原油に限れば、これまでのような状況でも、価格はともかく量の確保ができているというのは安心材料とは言えます。それにしても、海峡封鎖から早5カ月も経過しました。一日も早い和平と航行の自由が望まれます。

コメント

コメントフォーム

ブログ内検索

カレンダー

«8月»
      1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31      

フィード

To top