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かんとこうブログ

2021.08.14

ワクチンによる感染抑制は不可能!という計算結果?

昨日のブログで、大切なことを書き漏らしてしまいました。それは、「ワクチンによる感染拡大の抑制はできない」という計算結果になるということです。なぜそうなるのか?その理由を書きます。

昨日書いた内容は、ワクチンによるデルタ株に対する感染抑制効果は、アルファ株に比べて低く、試験結果によって差はあるものの、ファイザー製ワクチンであればせいぜい2回接種したとしても87%(カナダ予防接種研究ネットワーク)~88%(イングランド公衆衛生庁)であるということです。つまりワクチン接種をしても、従来型のアルファ株ならともかく、デルタ株では接種したすべての人の感染を防止することができないということです。

実はワクチン接種によって感染抑制ができるかどうかについては、もう一つ重要な要因があることを忘れていました。それは、基本再生産数、つまり一人の感染者が何人に感染を広げているのかという数字です。デルタ株ではこの基本再生産数が極めて大きいのです。下の図をご覧ください。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210801-00250999

従来の新型コロナウイルスは、国民の60%が免疫を持てばそれ以上感染が広がらなくなると言われていました。その理由は、上の図にある1人の感染者からの広がりが1.43.5人であり、中間の2.5人をとって計算していたからです。どういうことかというと、1人から2.5人に感染させても、そのうち60%の人が免疫を持っているので感染するのは残りの40%であり、2.5X40%で結局1人の新たな感染者が出現するだけで、拡大はしないということになるからです。

上の図によれば、デルタ株の場合には、5~9人に感染させるということになりますので、中間の7人として考えることにしましょう。計算は簡単です。1人が7人にウイルスを移しても6人が免疫を持っていればよいのです。この確率は6/7ですので、85.7%となります。アルファ株の60%から一挙にハードルがあがりました。

さらに冒頭述べたようにワクチンを接種していても感染する人がいる可能性があり、その確率も計算に入れる必要があります。ワクチン2回接種者のうち、感染しない程度の免疫を持っている人の割合は冒頭のようにせいぜい88%とすれば、7人のうちの6人ではなく、7人のうちの6/0.88人がワクチン接種を2回受けている必要があります。この6/0.88は実は6.818となり7人に限りなく近い数字になってしまいます。つまり、ワクチン2回接種による感染抑制効果が88%しかなければ、国民全員の97.4%がワクチンを接種して初めて、ワクチン接種による感染拡大抑制が達成できるということになります。諸外国をみてもワクチン接種率97.4%を達成している国はなく、大変難しいことであることがわかります。

もちろんこれはあくまで計算上の話です。デルタ株の基本再生産数が7人ではなく5人であれば結果は変わってきます。しかし、イスラエル保健省のデータのように経過時間とともに抑制効果が減少していくことを考えれば88%という抑制率は過剰である可能性が高いということになります。ですが大事なことは、ここデルタ株の蔓延により、ワクチンによる感染拡大抑制は極めて難しくなっているということです。

昨日の菅首相の会見では、まだワクチン接種に感染抑制を期待しているような口ぶりでした。酸素ステーションや抗体カクテルセンターの前に、感染抑制のための手立て、人流の抑制のために対策を考えていただきたいと切望します。

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