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かんとこうブログ

2021.09.02

世界のコロナ感染症の入院事情

日本では医療の逼迫が当面の大きな課題ですが、現在の日本の状況は世界と比べてどうなのかを調べてみました。比べたからと言って日本の医療状況が改善するわけではありませんが、物事を判断する際の参考にはなると思います。

今日ご紹介するデータは何回かご紹介している「Our World in Data」からの引用です。入院についてご紹介すると言いながら、実はこの「Our World in Data」の入院者数に関するデータには日本のデータが含まれていません。そこで日本の入院者数の推移のデータを探しましたが、なかなか見つからず、最終的にNHKのサイトの都道府県別の病床使用数を合計して入院者数としました。「入院治療を必要とするもの」の数は厚労省のサイトにもあるのですが、実際のところ、「入院を必要とするもの」の数と「病床使用数」とは大きく乖離しています。ともかくグラフをご覧ください。

実はこのグラフにはもともとアメリカが含まれているのですが、アメリカの入院者数は桁違いに多く10万人を超えていますので、他の国の入院者数がわかりにくくなるので除外しました。ヨーロッパ各国はピーク時で3万人前後、現在は1万人以下となっています。一方日本はというと、入院治療を要するものが20万人を超えている一方で、実際の使用病床数は23,666と一割強しかありません。おびただしい数のホテルや自宅での療養者がいるということになりますが、これが本当だとすればきわめて深刻な事態だということになります。

ただし、病床使用数が2万を超えているということは、すくなくとも総数ではヨーロッパ並みの病床があるということであり、人口を考えれば(イギリス、イタリア、フランスは日本の約半分)まだ少ないかもしれないが、桁違いに少ないということはないと言えます。

次にこの一週間あたりの入院者数のデータを見てみましょう。

ここでも例外はアメリカでこの1週間で8万人の新規入院者があったとされています。ヨーロッパ各国では5000人以下に留まっています。

一方、日本については新規な入院者ではなく、新規な「入院治療を要するもの」の数しかわかりませんでした。それもすぐには出てこないので、累計感染者数の増加、累計退院者数の増加、入院治療を要するものの増加などから計算しました。その数はおおよそ15万人とあります。おそらく上の例からみても実際に入院できているのはその1割くらいでしょうから15,000人程度であるとしても、これはかなりの数になります。

「入院治療を要するもの」の定義は、文字通り「入院を必要とするもの」であり、入院者とホテル療養者と自宅療養者の合計とされています。毎日の新規感染者の数がこの間2万人を前後であったことから、少し過大な数字になっている気がしますが、厚労省から発表されている数字はこの通りです。

ついで重症者数について見てみます。

提供されているデータは集中治療室入院者数です。ここでも別格はアメリカで、現在でも25000人がICUにいます。ヨーロッパ各国では、現時点で最も多いスペイン、フランスで2000人、その他は1000人以下となっています。日本の場合にはICU入院者という数字が見つからなかったので、重症者数を引用しました。日本の重症者はICUに入院していると人工呼吸器が必要の2種類があるようで、単純に考えると上のデータよりは多いように思えますが、それにしてもかなりの数のICU入院者がいるであろうとは推測されます。

以上見てきたことをまとめると、日本の今の入院者、重症者の数というのは、アメリカよりは少ないものの、ヨーロッパ各国なみで、人口を考えればそれでもまだヨーロッパ各国の半分程度と推測されます。

最終的には死亡者の割合がどうなるかが重要になると思いますが、それについては以下のグラフをご覧ください。このグラフには日本が載っています。

幸いにして日本の感染者における死亡率は1.08%とまだ世界でも低い部類に属しています。これまでの推移についてもこれらの国の中では、最も低い部類に属しています。医療が逼迫する中でも低い死亡率が保持されているのは、ワクチンの効果もあるとは思いますが、やはり医療従事者の献身的な努力の賜物のように思えます。

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