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かんとこうブログ

2022.04.15

3回目接種の感染抑止効果についてのデータ2件!

これまでさんざん日本には3回目ワクチンの感染抑止効果についての公的なデータがないと文句を言ってきましたが、その件について昨日、一昨日と公的なデータ2件が発表されました。1件目は厚生労働省からの発表で、順天堂大学などが3回目接種を受けた医療従事者について、抗体価を接種後3か月まで追跡した結果が公表されました。二つ目は、首相官邸ホームページのコロナワクチン特設サイトに毎週発表されているワクチン歴別新規陽性者数のデータが、2回目接種者と3回目接種者に区分して発表されるようになったことです。特に2件目については、本ブログでもその旨を要望していたところで、大いに喜んでおります。今日はその2件のデータをご紹介します。

それでは1件目の抗体価の推移についてのデータをご紹介します。この報告書は副作用についてもかなりのページを割いており、肝心の抗体価のデータは正直期待したほどではありません。何よりも抗体の相手が変異株ではなく、変異前の従来株であるのが気になりますが、この結果を報道したNHKのサイトの引用と、厚労省発表資料のデータ部分をご紹介します。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220413/k10013581151000.html

要約すると以上のようになります。つまり3回目にファイザーを接種しようが、モデルナを接種しようが、1か月の抗体価は接種前の数十倍以上となり、3か月後になると1か月後の価の約半分になるというものです。実際のデータでは、年齢別のデータも紹介されており、これを見る限り年齢による有意差はないと思われます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000928717.pdf

3回目ワクチンがファイザーかモデルナかを問わず、また年齢差もなく、1か月後に急激に増え、3か月後にはやや減少している様子が理解できると思います。

この結果から、この研究の代表者は、「3か月後にかけて抗体の値はほぼ半減したものの、水準としては高く一定の有効性は保たれている。オミクロン株に対する効果は明確に言えないが、有効性が急激に低下することは考えにくいのではないか」と述べているようです。ただ、一言言わせていただければ、オミクロン株では従来株に比べて、30か所以上で構成するアミノ酸の置き換えが起きておる、細胞内に入り込む際に細胞内受容体と直接結合するRBDReceptor Binding Domain) においても多くの変異が起きています。現在使用されているワクチンも従来株のタンパク質組成を元に作られており、今回の結果は最も高い効果が期待できるケースの結果であるという点に一抹の不安を感じています。

一方、首相官邸のコロナワクチン特設サイトのワクチン歴別新規陽性者のデータですが、これは文句なく実際の感染について3回目の効果を明確に評価できると考えています。今回発表されたデータは328日から43日までの1週間の新規陽性者についてのデータです。今週発表分から2回接種者と3回接種者を区分けして発表されるようになりました。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html?msclkid=c44cd9f8bc5711ec850c62184eb53b8e

ワクチン接種歴の影響を見るため、各ワクチン接種歴の10万人あたりの新規陽性者の数を見てみましょう。下の3つのグラフ、縦軸のスケールはそろえてあります。

一目瞭然です。これまで未接種者と2回(以上)接種者の10万人あたり新規陽性者数が大きく異なることをずっとご紹介しましたが、2回接種者と3回接種者では、10万人あたり新規陽性者数がかなり違います。全年代を合計して計算するとこの週の10万人あたりの新規陽性者数は。未接種者では501人、2回接種者では197人、3回接種では48人となりました。3回接種の効果が明確に示されたわけです。正直予想していた以上でした。3回接種者の新規陽性者は、未接種者の約1/102回接種者の約1/4でした。

これまで2回以上接種者のデータしかないため、3回接種の効果が顕在せず、過小評価をしていたようです。お詫びをいたします。

さてこれらの数値から、ワクチン接種による感染の抑止率が計算できます。この抑止率の計算式を下図に示しますが、いわゆるリスク計算であり、専門家が用いるオッズ計算ではありませんが、わかりやすいのでこちらを使います。

これら3つの図でまず注目してもらいたいのは左と中央です。今3回目接種を一生懸命推進して得られる感染抑止成果は、この両者の差異になります。最も効果が大きいと期待されるのは60代、70代であり、後は若年層が続き、80代、90代はほとんど上積み効果がありません。このことは右の図にも表れていますが、右の図の数値をそのまま見ると効果を過大評価する恐れがありますので注意してください。

ともかく、ワクチン接種歴別の区分に3回接種を加えてもらったおかげで、3回目ワクチンの効果が明確に評価できるようになりました。ただ喜んではいられません。3/21-27の週では20歳代だけが微増でしたが、3/28-4/3の週では、ほぼ全年代がワクチン接種の有無に関係なく新規陽性者数が増加となっています。

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