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かんとこうブログ

2022.11.23

塩野義製薬のコロナ経口薬が承認されました

 昨日開催された厚生労働省の専門家会議が使用を認めることを了承し、その後厚生労働省が承認しました。使用が承認された経口薬は塩野義製薬の「ゾコーバ」であり、今年の6月と7月にも審議されましたが、ウイルスの減少に効果があることは認められたものの、症状改善の有効性が明確でないという理由で承認が見送られました。

この「ゾコーバ」は、すでに承認されているファイザーの「パキロピッドパック」と同じ作用機序の薬ですが、「パキロピッドパック」が重症化リスク因子のある場合に限定されているのに対し、そうした制限なしに使用できる点が異なります。

今回発表されたコロナ感染者に対する治験結果については、NHKサイトの図がわかりやすくまとまっているので、それを引用しました。(下記URL)

塩野義製薬が開発し承認された新型コロナの飲み薬「ゾコーバ」の効果 | NHK | 新型コロナ ワクチン(日本国内)

薬効を要約すると、オミクロン株に感染した12歳から60代の軽症から中等症の1821人に対し1日1回5日間投与したところ、オミクロン株に特徴的な5症状(せき、のどの痛み、鼻水/鼻づまり、倦怠感、発熱)がすべて7日間前後で消失し、症状が出ていた期間が、偽薬を投与した場合に比べて約24時間短縮されたというものです。

ただし、この薬については催奇形性の危険性が指摘されているため妊婦への適用ができないことや、薬物代謝を阻害する場合があるなどの理由から併用して使用できない薬の種類が極めて多いことなど、実際に適用する上での問題があるようですが、とにかく使える薬の種類が増えること、国産の薬が承認されたことは喜ばしいことではないかと思います。

以下参考までに、本年7月27日に本ブログに掲載した「ゾコーバはなぜ承認されなかったか?」の内容から、ゾコーバの構造と作用機序について転載します。

ゾコーバの化学構造とIUPAC名などをWikipediaから引用しました。これまで承認申請されてきたコロナウイルス感染症薬はすべてWikipediaに詳しい情報が収録されていますので、すぐに構造を知ることができます。


この薬の作用機序はすでに国内で使用承認されているファイザー社の「パキロキッドパック」に含まれる「ニルマトレピル」と同じで、下図のようなものと考えられています。(本ブログのファイザー薬からの引用です)

簡単に言えば、ウイルスが体内に侵入して増殖する過程で、まずウイルスの部品が繋がった大きなタンパク質を複製し、それを酵素で切り分けてウイルスを複製することができるのですが、この大きなタンパク質を切り分ける酵素の働きを阻害する薬とされています。

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