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かんとこうブログ

2023.04.12

なぜ「青」信号と呼ぶのか?についての深い話

「目に(は)青葉山ほととぎす初鰹」江戸時代の俳人山口素堂の詠んだ句です。4~5月にかけての季節の枕詞として引用されますが、最初の「目に(は)青葉」という表現に違和感も覚える人は少ないと思います。同様に、「青信号」という表現についても違和感を覚える人は少ないのではないかと思います。実際には「緑」または譲歩したとしても「青緑」とも呼ぶべき色を「青」と呼ぶのはなぜなのか、調べてみました。巷で喧伝されているの説はともかくとして、実際にはかなり深い話であることがわかりました。今日はなぜ「青」信号と呼んでいるのか、の背景を書きたいと思います。

なぜ「青」信号と呼ぶのか?についてはネットで検索するとすぐに答えが見つかりました。代表例として東北大学の栗木一郎准教授の回答をご紹介します。

この栗木先生は、日本語話者の色カテゴリー(色としての分け方)の研究をしている先生ですので、この説明は信用できると思いますし、他にも同様な記述がたくさん見つかりました。「最初は法律でも緑信号と決められていたが、新聞で青信号と紹介されたため、それが広まって青信号となった。」という説明です。ただし、この説明だけでは、なぜ新聞が「青信号」と書いただけで、それが民衆に広く受け入れられるようになったのかがわかりませんでしたので、そもそも青と緑は歴史的にどのように区別されてきたかに遡って調べてみました。

この内容は、日本視覚学会誌に掲載されていたもので、J-Streamから引用しています。以前の青や赤の話でも書いているように、色の区分(カテゴリー)というのはそもそも白と黒から始まり、赤と青が現れ、赤から黄が、青から緑がそれぞれ分離するという過程をたどって増えていくというのが定説になっています。

青と緑については日本では12世紀以前は区分けされていなかったものの、色としての見分けはできていたと説明されています。同様に13世紀までの英国では青と緑をあわせた「Grue」という言葉が用いられていたそうです。そして青と緑を合わせた「青カテゴリー」は、英国の「Grueカテゴリー」とともに、その概念が現代にまで引き継がれていると説明されています。すなわち、色認識としてはちゃんと区別していても、青と緑をあわせた「青カテゴリー」の概念が現在まで残っているため、「青葉」や「青信号」の表現に違和感を感じないのではないかと説明しています。

ところで、世界のいろいろな言語において「青」と「緑」が独立した言葉で明確に区分されているかどうかを調べた興味深い文献が、文献紹介サイトで見つかりました。この研究は、もともとDaltonism(赤緑色覚異常)を調べるための研究論文なのですが、その過程で「青」と「緑」の言語上の区別についても調査しているのです。そして結果として「青」と「緑」を言語上で区別しているかどうかを支配する要因として下図の4つを挙げています。

言語上、「青」と「緑」を区別しているかどうかを支配する要因として①緯度、②湖からの距離、③その言語使用する人数、④気候特に湿度 を挙げています。原文(nature report 投稿分)にグラフが載っていましたので下図に示します。

左図の世界地図上の黄色と青の丸印が、言語上での青と緑の区別の有無を表示しています。黄色丸印が言語上区別がない集団青色丸印が区別がある集団です。黄色の丸印が赤道付近と北極周辺の高緯度地域に多いことがわかります。

右の図は、上であげた支配要因のいうちのUV-B量、集団の人数、湖からの距離の影響を示したものであり、「青」と「緑」が区別されやすくなる要因としてその言語を話す人数があり、人数が多くなればなるほど区別される確率が高くなります。逆に区別されにくい要因としてはUV-B湖からの距離を挙げています。

なぜUV-Bが多くなると区別されにくくなるのかについては下図の説明があります。

   

つまり、UV-Bが多くなると認識する色の中で青が少なく、緑が多くなるため、青が他の地域よりも知覚されにくいことが要因ではないかとの説明です。

   

最後は横道にそれてしまいましたが、青信号と今でも呼ばれているのは、日本人の色意識の中に昔の「あを:青と緑を含む色の名称」の概念が残っているためではないかというお話でした。今回調べたことでもう少しご紹介したいことがありますので、明日も緑と色カテゴリーについて書くことにします。

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