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かんとこうブログ

2023.05.11

消費動向よりも面白い?・・耐久消費財の調査結果

4月に発表された2023年3月の消費動向調査には耐久消費財に関するさまざまな調査結果が載っており、この内容が消費動向よりも興味深く感じられました。2年前にも同じように感じて耐久消費財動向についてご紹介したのですが、今回は前回の分とあわせ4年分のデータを踏まえてご紹介したいと思います。純粋に興味本位で読んでもらえたらと思います。元の報告書は下記URLから見ることができます。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/honbun202303.pdf 

今日ご紹介するのは、①耐久消費財の普及率 ②個々の耐久消費財の普及動向 ③耐久消費財の保有台数 ④耐久消費財の使用年数 です。

①耐久消費財の普及率については、下表をみてもらうのが一番手っ取り早いのですが、ついに携帯電話がテレビを抜きトップになりました。そしてそのほとんどがスマホであるというのも最近の特徴です。この普及率は世帯単位ですので、携帯電話を保有する世帯は100軒に96軒ということになります。温水便座や乗用車が8割を超えていること、パソコンやシャワー付き洗面台が7割超えであることなど言われてみればそうかと思いますが、意外に高い印象でした。

この耐久消費財に関する調査は、時代時代にあわせて調査対象品目を変更してきています。現在の調査対象品目の中に、デジタルカメラ、ファンヒーター、ファクシミリ、ビデオカメラといった最近あまり耳にすることが少なくなった品目がありますが、これらは次にご紹介するように軒並み普及率が低下しています。すなわち使用されなくなってきているということです。ということで②個々の耐久消費財の普及動向を見てみましょう。

②耐久消費財の普及率 に関しては過去50年間のデータが図示されていますのでそれを引用します。

冷暖房器具、住宅関連設備では概ね普及拡大傾向のものがほとんどですが、ファンヒーターだけが近年減少傾向です。これは二酸化炭素排出問題とも関係が深いようにも思えます。

映像、デジタル機器については、普及拡大のスピードが上図の冷暖房・住宅関連機器にくらべて速いものが多く、パソコン、デジカメ、光ディスクプレーヤー、薄型テレビなどは数年の間に過半数を超える勢いで普及しています。ここも全般に普及拡大傾向ではありますが、デジカメとビデオカメラは近年普及縮小傾向となっており、その背景にはスマホの普及があります。スマホカメラのすさまじい性能向上により、デジカメとビデオカメラはその存在意義を失ってきているものと思われます。

家事用品と通信機器では、何と言っても目を引くのがスマホの普及とスマホ以外の携帯の退廃です、普及が縮小傾向にあるのはファクシミリと温水器で、それぞれその役割における主役の座を他のものに譲っているところが共通しています。

2020年から2023年までの3年間に、どの耐久消費財が増え、どの耐久消費財が減ったかを下図に示します。

この3年間で普及が進んだものの上位5つを挙げると、スマートフォン、その他の衣類乾燥機、ブルーレイプレーヤー、洗髪洗面化粧台、タブレット端末の順でした。一方で普及が後退したものの上位5品目は、スマートフォン以外の携帯電話、デジカメ、ファクシミリ、DVDプレーヤー、洗濯機一体型衣類乾燥機の順でした。面白いのは同一ジャンルの機器が両方に入っているのが二組あり、映像機器ではDVDが減ってブルーレイが増え、衣類乾燥機では洗濯機一体型が減って浴室乾燥機型が増えました。品目ごとの人気の動向がよく表れていると思います。

③耐久消費財の保有台数ですが、100世帯当たりの保有台数と保有世帯1世帯当たりの保有台数の両方を示します。

上段のグラフは、100世帯あたりに何台保有されているか?、下段のグラフは保有世帯に限定して1世帯当たり何台保有されているのかということです。上のグラフにおいて保有台数が100を超える場合には少なくとも1世帯に2台以上保有する世帯があることを示しています。その耐久消費財が個人使用なのか世帯使用なのかを知る指標になり得ますが、それを保有世帯あたりに換算してやるとさらに明らかになります。

個人消費の最たるものはスマホですが、保有台数のトップはルームエアコンでした。もう1部屋1台の時代になりつつある事を示しています。さらに乗用車も保有世帯あたり台数では1.64ですので、1世帯に複数台の所有が多いことを示しています。保有世帯当たり台数ではパソコンが1.42と1世帯複数台所有になりつつあります。

最後に④耐久消費財の使用年数ですが、これはあまり2年前と変わりがありませんでした。

平均使用年数が最も長いのがルームエアコンで短いのが携帯電話というのは2年前も同じでした。比較的長期間使用される耐久消費財としては、ルームエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビであり、これらの平均使用年数は乗用車のそれを上回っています。

また買い替えの理由については、乗用車、パソコン、デジカメ、携帯電話以外は故障が過半数です。言い換えれば壊れなければ使い続けるという人が半分以上ということになります。逆に乗用車や携帯電話では故障以外の理由が過半数なので、おそらく技術的な進歩が続いており、製品が陳腐化するまでの時間が短いことを示していると思います。

電気製品の使用期間については、SDGsの評価の際に日本の評点を下げた理由の一つとして挙げられていました。こうした耐久消費財の使用実態についてもSDGsの観点から考察を加え方向性を示す必要があるのではないかと思います。(単に統計数値を発表するだけでなく、進むべき方向性を国民に示すのが本当の仕事ではないのか?・・というのは期待過剰でしょうか?)

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