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かんとこうブログ

2023.07.04

新ワニの口?・・・日銀短観2023年6月調査結果

昨日、日銀短観(令和5年6月調査分)が発表になりました。今回も前回(令和5年3月調査分)同様、製造業と非製造業でDI値が乖離している様相となりましたので、「ワニの口」という言葉を使いました。「ワニの口」とは一般会支出と税収の推移を示した折れ線グラフで、税収が低迷する中支出が拡大する様子を示したものですが、日銀短観のDI値(「よい」と答えた人から「悪い」と答えた人を差し引いた数値)における製造業と非製造業の推移も逆方向に乖離を示しているため、この言葉を使ってみたというわけです。(今回は少しこの乖離が縮小する方向へ動いていますが・・)

実際のDI値の推移を示します。(短観そのものではなく、日銀の時系列データサイトから描画、引用しています)

大企業、中小企業とも製造業と非製造業で見事に口が開いています。この二つのグラフを眺めていると過去にも同じような推移を示していたことがわかります。リーマンショック時にも、最も影響の大きかった2009年は製造業の方が落ち込みましたが、東日本大震災の2011年あたりは製造業のDI値が上回りますが、2012年から2013年にかけては再び非製造業が上回っていました。コロナ禍でも同様に、製造業の方が落ち込みが大きく、その後2021年には逆転するものの、再び製造業が下回るようになりました。単なる偶然かもしれませんが、似通った推移となっています。この「ワニの口」は、リーマンショック後の例の倣えば、間もなく解消の方向にむかうと推測されます。

ところで今回の日銀短観の発表を受けて報道各社の見出しを調べてみました。見事に一致して「7四半期ぶりの製造業の景況感が改善された」と報じていました。

確かにこれまで1年半あまり景況感が悪化し続けてきた製造業の大企業が上向いたことは大変好ましいことですが、一方では経済の牽引車としての製造業に対する期待の大きさとも受け取れます。

ここで1983年から現在に至る長期データで現在のDI値の水準を見てみたいと思います。

製造業と非製造業、大企業と中小企業でも異なるのですが、DI値の水準は、非製造業ではコロナ禍前に戻っていると言ってよいと思いますし、製造業でも2018年レベルには及ばないものの、まずまずの水準まで戻ってきていると言ってよいと思います。

最後にコロナ禍が始まって以来、継続している中小企業の業種別DIの推移です。コロナ禍とリーマンショック時を一つのグラフに描いています。製造業では、「造船・重機等」を除き、リーマンショック時の方が影響が深刻であったことがわかります。

非製造業でも「飲食・宿泊」を除き、リーマンショック時の方が景況感が悪化していたことがわかります。

これは企業経営者の感覚の問題なので、金銭面での負荷や心労がどの程度かわかりませんが、会社施策を考える上で当時と比較してみることはそれなりに意味があることなのではないでしょうか?

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