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かんとこうブログ

2023.10.04

GX推進法・・経産省資料、解説、抗議声明など

本年5月に「GX推進法」が成立しました。この法律の正式名称は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」という長い名前ですが、略して「GX推進法」と呼ばれています。この「GX推進法』の「GX」ですが、「Green Transformation」の略語で、和製英語のようです。意味としては産業構造、社会構造をクリーンエネルギー中心に変革することを意味しているそうです。今後の社会、産業に大きな影響を及ぼすと言われるこの「GX推進法」について調べたことをご紹介していきたいと思います。

まずは経産省の法案内容の説明資料からご紹介します。(下記URL参照)概要としては(1)~(5)までありますが、最も注目すべきは(2)GX経済移行債 と(3)成長志向型カーボンプライシングの導入です。

https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210004/20230210004-1.pdf 

   

 

  

(2)GX経済移行債については、以下のように説明されています。2)政府は、GX推進戦略の実現に向けた先行投資を支援するため、2023年度(令和5年度)から10年間、GX経済移行債(脱炭素成長型経済構造移行債)を発行し、GXの推進に関する施策を講じていきます。」

   

ここで発行される債券は10年間で20兆円のようですが、GX全体では10年間で150兆円の資金が必要であるとし、その一部として債券を発行するということのようです。もちろんこれだけでは足りませんので、(3)のカーボンプライシングが必要となるわけです。

   

   

これについては以下のように書かれています。3)2028年度(令和10年度)から、化石燃料の輸入事業者等に対して、輸入等する化石燃料に由来する二酸化炭素の量に応じて、化石燃料賦課金を徴収します。また、2033年度(令和15年度)から、発電事業者に対して、一部有償で二酸化炭素の排出枠(量)を割り当て、その量に応じた特定事業者負担金を徴収します。」

   

5年後の2028年からは化石燃料輸入業者等に賦課金を課し、10年後の2033年から発電事業者に排出枠を割り当てその量に応じて特定事業者負担金を徴収すると書かれていますが、事実上の炭素税です。

   

経産省の説明は、この程度しか見当たりません。そこでネットに掲載されていた「解説」と「抗議声明」もご紹介することにします。これらを読んでいただいた方が理解が深まるものと思われるからです。最初は(3)についての解説です。

   

   

かなりわかりやすくなり、具体的に誰に課されるのかがはっきりとしました。また賦課金の金額については以下の記事がありました。具体的な金額イメージも記載されています。

   

現在予定されている賦課金はCO2・1トンあたり2000円前後であり、消費者や企業の行動変容を促すには金額が低すぎるのでないかとの懸念を示しています。こうした予定されている金額への指摘は他にも見られます。

   

WWFは国際的な環境保護団体ですが、この「GX推進法」および同時に制定された「GX脱炭素電源法」(脱炭素社会の実現にむけたでき供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律)に対し、抗議声明を出しています。この「GX脱炭素電源法」は、説明をすると長くなりそうなので要点を紹介しますと、①「GX推進法」に実効性をもたせるために、複数の既存法の改正をまとめた「束ね法案」である。②改正は多岐にわたり再生可能エネルギーの導入促進のための系統整備、既存再エネの追加投資促進、再エネ違反業者への措置などが追加された。③原子力利用促進のための原子力発電の運転期間延長、運転停止期間の運転期間からの除外など などが決められています。

   

この中で特に③の原発運転期間の延長については、懸念する声がたくさん寄せられています。それらを代表してWWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」に対する問題点の指摘と改善提案、「GX脱炭素電源法」に対する抗議声明とその指摘をご紹介します。

   

   

   

要約すれば「GX推進法」に対しては、制度の導入は遅く、かつ実効性に乏しいのではないかということです。先に述べた「炭素価格」が低すぎるとも指摘しています。

   

また「GX脱炭素電源法」に対しては国民的議論のない中での決定と運転期間延長への危惧、他の再エネ、省エネ技術への転換を訴えています。

  

   

最終目標である2050年実質排出量ゼロにむけて、今一定の方向性が定められたわけですが、「GX推進法」では(5)として進捗評価と必要な見直しが定められています。一度決められたものは梃でも動かさなかったこれまでの通例を捨て、技術の進歩にも目を光らせて臨機応変に対応してくれることを祈らずにはいられません。

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