お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2024.01.23

日本ペイントホールディングスの投資家との質疑応答要旨

先週日本ペイントホールディングスのHPに掲載されたセルサイド・アナリストと共同社長とのスモールミーティング質疑応答要旨についてご紹介したいと思います。例によってアナリストの最重要関心事は中国市場のようですが、それについては、同社のサイト(下記URL)をご覧いただくとして、それ以外の日本を含む市場についてのウイー共同社長の回答をご紹介したいと思います。

https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/library/materials/20231205_sellside_qa

最初はインドネシア市場です。私自身がインドネシアで海外赴任しておりましたので、今回のコメントは興味津々でした。なおウイー社長の写真は日本ペイントホールディングスのホームページからお借りしました。

①に書かれているように、インドネシアにおける日本ペイントは、AKZONOBELとともに自他ともに認める塗料の二大トップブランドです。1960年代に進出して以来確立してきたブランド力は強力であり、誰もが知る有名ブランドとなっています。②の高い収益性ですが、確かにインドネシアの建築市場の利益率は高く、価格競争になりにくい特性があります。ただメーカー数は多く、大きなDIYストアでは、塗料メーカー10社以上が店頭調色機を置いて塗料を販売するという光景が見られます。④に書かれているマーケットリーダーとはAKZNOBELと推定しますが、私が駐在していた2012年~2014年当時でも日本ペイントの方がAKZONOBELよりも上ではないかと言われていました。当時のインドネシアの塗料市場は建築用が7~8割を占めており、建築塗料は内装が中心であり、日本では市場から消えたしまった酢ビのエマルション塗料がまだ幅を利かせていた時代でした。今はどうなのかわかりませんが、市場特性としては、メーカーとして扱いやすい市場であるように思います。

次にトルコです。トルコと言えばハイパーインフレという言葉が思い浮かびますが、この状況下で一体どのようにマネージしているのでしょうか?

書かれていることを要約すると、「超インフレではコスト転嫁を急ぐあまり、売上収益の伸びだけを追い求めるが、それでは判断を誤ることになるので、長期的な観点から適切な取り組みを進め、他の市場とは異なるマルチブランド戦略に取り組んできた」ということのようです。さらに塗料周辺事業としての断戻してインド事業の再参入に取り組んでいます。

インドにおいては、全土での一斉参入ではなく、南部タミルドナウ州1州から参入を開始し、同州ですでに2番手を確保し、隣接するカルナータカ州への参入も開始、ここでもシェア2位の地位を確保したと説明されています。こうして部分的に参入していくことについては、すでに市場で強力な競合他社が存在していることを理由にあげています。確かにインドには、急成長を続けている世界8位のAsian Paintと世界15位のBegrer Paintという二大メーカーが存在します。そしてまずこの2州で確固たる地位を確立しつつ、組織力を強化し、インド各地における日本ペイントの存在感を高める戦略のようです。インドにおける自動車補修と工業用についても2023年は好調に推移したとしています。

最後に日本、豪州、欧州、米国です。

総じて言えば、表題とした「先進国全体では逆風が吹いているが、これまで築き上げてきた地位を堅守」ということになります。日本においても日本ペイントグループは8%の売上増を達成、オーストラリアのDULUXグループは欧州で売上増に貢献し、2023年の10%の成長を確保、欧州市場全般も明るい兆しが見えるとしています。米国では、2023年建築用がやや減速気味であったものの、2024年は楽観的な見通しだとしており、自動車用も2023年は2022年よりも好調であろうと見ています。このあたりは、来月14日の決算発表で具体的な数字として発表されることになります。

以上質疑応答からウイー共同社長の回答として掲載されていたものをそのまま掲載させていただきました。

コメント

コメントフォーム

To top