かんとこうブログ
2024.11.28
2023年度エネルギー需要供給速報 その1
11月22日に経済産業省から2023年度エネルギー需給速報(下記URL)が発表になりました。これは日本全体に対し2023年度に供給されたエネルギー(一次エネルギー)量、そこから加工されて実際に使用できる形となったエネルギー(二次エネルギー)量、そしてそれを実際に消費した(最終エネルギー消費)量をまとめたもので、日本のエネルギーに関して総合的な状況を表す速報です。まず最初にこうした用語と概念をまとめておきます。ここで重要なのは、一次エネルギーから二次エネルギーを経て、最終エネルギー消費に至る過程でかなりの損失があり、一次エネルギー100とすると、最終的に消費されるエネルギーは66であり、損失が34、すなわち1/3は損失であるということです。
ではそれぞれのエネルギーについて統計数値をみていきたいと思います。まず一次エネルギー供給ですが、2023年度の「概要」レポートには前年比の数字しかありませんでしたので、2022年度までの推移と2023年度の前年比の表をセットにして示します。
一次エネルギー供給量は2000年代中盤をピークに以降は減少に転じており、全体的に各エネルギー供給量が減少しています。例外は、原子力と再生可能エネルギーで、2023年度でも、前年比で原子力が51.2%、再生可能エネルギーが5.5%増加しました。一次エネルギー供給全体では4.1%減少しています。
一方消費の方も同様であり、2005年度をピークに減少傾向にあり、2023年度は前年から3.0%減少しました。(下図)
こちらは図をそのまま引用しています。最終エネルギー消費の内訳別にみた2013年度(基準年度)比および前年度比のグラフを示します。
最終エネルギー消費の内訳別では、2013年度比、前年度比のいずれも全種類のエネルギー消費が減少しています。中でも減少量が大きいのは石油、石炭です。2010年以降の各内訳別の消費量も数値が載っていましたので、グラフにしてみました。
2023年の最終エネルギー消費としては、石油由来が最も多く半分近くを占めます。ガソリン等の石油製品が多くあることも理由のひとつです。次は電力の27.6%ですが、電力は必ずしも減少傾向にあるわけではなく、2010年以降で見てもむしろ微増傾向にあります。これは世界で見ても同様で、電力消費量、割合とも増加しています。
以上の2023年度日本の一次エネルギー供給と最終エネルギー消費をまとめてみました。総じて需給とも前年度より減少したのは冒頭述べた通りで、CO2の排出量も全体で4.8%減少しました。セクター別に見ても各部門とも最終エネルギー消費、CO2排出とも減少させています。
以上が2023年度の日本のエネルギー需給の概要になります。人口減少もあるとは思いますが、それ以上にエネルギーについては供給も需要も減少してきています。明日は本日の続きとして、発電についてこの速報に書かれていたことを中心にご紹介していきます。