かんとこうブログ
2026.06.25
中東情勢に係る民間調査機関の調査結果と直接購入システム
6月23日から、建築塗装あるいは板金工場などでシンナーの供給が遅れて困難な状態にある塗装業者の救済措置として、国交省のワンストップポータルに相談し、緊急事態と認定されれば経産省を経由してアスクルが手配し、塗装業者に配送するというシステムが開始されました。これはあくまで特例であり、塗装業者の方が直接アスクルに依頼することはできません。この直接配送は、あくまで国交省の窓口でそのシンナー不足が緊急事態であると認定される必要があります。このような特例なシステムが採用された背景には、シンナー不足がなかなか解決されていないことが考えられます。より広く言えば中東情勢不安が企業活動に与える影響が気になるということでもあります。
そうした意味で、中東情勢不安が企業にどのような影響を与えてきたかに関する民間の調査機関の調査結果を二つご紹介したいと思います。一つ目は東京商工リサーチが6月11日に発表した全国6259社を対象としたナフサなどの石油化学製品関連の調達に関する調査結果(東京商工リサーチ TSRデータインサイト:下記URL)です。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202946_1527.html
これによると大企業、中小企業を問わず、石化製品の調達量、価格に支障がでていると回答した会社は8割を超えており、全体の3割を超える会社が石化関連製品の在庫を積み増ししたと回答しています。在庫を積み増した割合が高い業種としては、製造業、小売り業、卸売り業、農林水産鉱業、運輸業の順となっており、(下図:出典:東京商工リサーチ)原料だけでなく包装資材や販売用トレーなどの在庫が積み増しされていることが分かります。

在庫を積み増した会社がどの程度積み増したかについても文章で記載があり、大企業/中小企業の在庫積み増しの差異についても文章での記載がありましたので、両方とも記述をもとにグラフ化してみました。

在庫積み増したした会社がどの程度積み増ししたか(左図)については、積み増しした会社の7割が20%以下の積み増しでした。一方大企業と中小企業の比較(右図)では、積み増した会社の割合は中小企業の方が多いという結果でした。中小企業の方がより強く危機感を感じていることの反映と思われます。
もう一つの調査結果は帝国データバンクが6月8日に発表した「塗装・防水工事」の倒産件数の推移についてのデータ(下記URL)で2026年1-5月の倒産件数は2000年以降の最多の2025年に次ぐペースとなりそうであるということでした。
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260608-tosoubousuitousan/

塗料製造業は、3月と4月では前年同月以上の量を生産し、在庫を一部切り崩して出荷しました。5月も同様と思われます。しかしながら、一方で、塗料やシンナーが入手できないために工事がストップしているという話は今も頻繁に聞こえてきます。本来、塗装業者にシンナーメーカーから直接配送されるということは、塗料製造業と塗料販売業にとって自分たちの存在意義を問われる問題ですが、塗料やシンナー不足がいつまでも解決されず社会問題化しており、危機にある塗装業者を救済するための特例としての直接配送が実施されるのであれば、塗料製造・塗料販売業界からもそれなりに理解されるのではないかと思っています。
と同時に、根本解決はホルムズ海峡の開放であり、自由通行が将来にわたって保障されない限り、塗料・シンナー不足への不安は解消しないのではないかとも思います。そうした意味で全世界の期待を背負うアメリカの責任は、極めて重いものがあります。