かんとこうブログ
2026.11.07
全日本大学駅伝の振り返り・・好走率でも早稲田がダントツ
今週初めに行われた全日本大学駅伝は早稲田大学がスーパールーキー3人の快走もあり、大幅な大会記録更新とともに優勝を飾り、大学駅伝3勘に王手をかけました。優勝した早稲田大学の各選手はすばらしい快走を見せ、箱根駅伝三連覇中の青山大学原監督をして「海外留学生がいれば、実業団チームとでも優勝できるのではないか?」と言わしめたほどの圧倒的勝利でした。
私は人後に落ちない駅伝ファンとして、レースの前には、必ずエントリーした選手たちの持ちタイム(トラックレースでの10000メートルなどの自己記録)を見て勝手にレースの展開を予想していますが、なかなかその通りにはなりません。そうしたことから一度、実際の駅伝の区間記録とその選手の持ちタイムの関係について調べてみたいと思っていました。今回は少し時間もあったので、調べてみましたのでご紹介します。
どのようなことをしたのか?については、下図で早稲田大学を例にあげて説明します。
①まず各区間の記録を書き出して、②それを秒に換算します。③各区間の距離はバラバラですので②を10Kmの通過時間に換算します(単純比例計算です)④エントリー表からそれぞれの選手の持ちタイムを調べ、秒に換算します。

これで当日の実際の記録の10000メートル換算値と持ちタイムを比べることができるようになりましたので、当日タイムを持ちタイムで割って、比率をもとめます。これを「好走率」と名付けました。好走率が小さいほど当日頑張ったということになります。
ここでいろいろ意見が出てくるものと思われます。当日のタイムを一律に10000メートルに換算してよいのか、とか選手によってはトラックレースのほとんど出場しない選手がいるとか、10000メートルの記録をもっていない選手がいるとか、いちいちごもっともです。ですが、とにかく比較することが目的ですので多少のことは目をつぶってもらいます。10000メートルの記録をもっていない選手の場合には5000メートルの記録を2倍して60秒足すことにしました。区間ごとに距離が違うのであれば、区間ごとに比較すればその区間での傾向はわかるでしょう。とにかく比べてみました。各大学の区間ごとの好走率の推移を下図に示します。さすがに全大学をやるには手間がかかりすぎますので上位8校の成績と持ちタイムから計算しています。

これらのグラフでは、縦軸を逆転していますので、上の方が値(好走率)が小さくなっています。またオレンジ線は各区間の8選手の好走率の平均です。このオレンジ線よりも上であれば、その区間の平均よりもよく走ったということになります。
優勝した早稲田は、全般的に素晴らしい好走率でした。1区が平均よりも好走率が下になりましたが、これは前半スローペースで進んだためであり、しかたありません。それ以外は各区間で平均好走率を大きく上回りました。特に5区では好走率0.9というとんでもない数字になりましたが、これはこの区間を走った鈴木琉胤選手の持ちタイムが30分40秒という実力から見ると大変に遅いものであったためです。また、早稲田は3人のスーパールーキーが素晴らしい走りを見せましたが、この3人はいずれも10000メートルの記録がなく、5000メートルの記録から換算したものです。この換算値が遅すぎるタイムではないかと思われるかもしれませんが、換算タイムは本田選手28分4秒、増子選手27分40秒、新妻選手28分10秒でしたので、決して遅すぎることはないと思っています。いずれにしても早稲田は、持ちタイムを上回る快走が続き、8人に平均好走率が0.993と1.0を切ってしまいました。つまり持ちタイムを上回るペースで10より長い距離を走ったことになります。区間距離は1区以外は10Kmよりも長いので普通はありえない事態ですが、それほど早稲田の快走は見事だったと思います。
早稲田に比べると、2位の國學院、3位の創価、4位の青山学院は、各区間とも好走率がほぼ区間平均に近いところでまとめています。青山学院の3区の好走率が際立ったよいように見えますが、これも3区を走った松田選手の持ちタイムが30分30秒ととても遅いタイムであったことが理由です。
5位の中央は、この中で最も好走率がよくなかった大学となりました。2区以降はいずれも好走率が区間平均を下回っています。後述しますが、中央は平均持ちタイムが最もよいチームであったのですが、実力を十分に発揮できることができなかったと言えるかもしれません。駒澤、大東文化、帝京もほぼ好走率は区間平均周辺でした。
好走率についてまとめると、早稲田がとびぬけて良く、中央がいまいちであった以外はそれほど大きな差はなかったように思われます。下右図の各大学平均好走率のグラフをご覧ください。
となると、持ちタイムの優劣が気になります。これはエントリーのデータから簡単に計算でます。下左図をご覧ください。中央がダントツによく、國學院が2番、創価が3番、早稲田が4番、駒澤が5番、帝京が6番、青山学院が7番、大東文化が8番となりました。

この持ちタイムと好走率を掛けたものが、当日記録の換算タイムとなります。実際のレースでは5位と6位が同タイム、6位と7位が3秒差、7位と8位が29秒差といずれも接戦でしたので、換算タイムの順番は実際にゴールした順番とは少し違うところがあります。

持ちタイムに関しては、5000Mの記録をどう10000Mに換算するかについて議論のあるところでしょうが、多少早めに見積もったところで、早稲田の好走率の素晴らしさは変わりません。当日タイムの10Kmの換算値で2位以下を20秒近く引き離しています。素晴らしいレースでした。
学生駅伝も残るは箱根だけになりました。箱根はしかし、距離が倍になります。10000メートルとハーフマラソンでは別な競技と考えた方がよいと思っています。全日本から2カ月、各校がここからどこまで力をつけてくるのか楽しみにしに、箱根を待ちたいと思っています。