お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3443-4011

かんとこうブログ

2024.02.27

IMFのPublic Sector Balance sheet欄が見つかりました!

先週のブログで、IMFのサイトで”Public Sector Balance Sheet”を探したけれど見つからなかったと書きましたが、Googleで「IMF Public Sector Balance Sheet」で検索すると、いとも簡単にめざす各国のバランスシートに到達しました。しかも2000年から2020年までのデータが、中央政府、統合政府、中央銀行という分類毎に載っていましたので、今日はこれをまずご紹介します。「まず、と書いたのは、明日・明後日はさらにこのIMFが日本のPublic Sector Balance Sheet」についての解説した報告書をご紹介したいと思います。そこには単に負債の額がどうであるとかという話でなく、日本の現在の状況に至るまでの細かな説明が書かれており、財政状況の背景がよく理解できます。

まずは、中央政府、統合政府、中央銀行の貸借対照表を示します。ここでは「統合政府」という名称を使用していますが、もともとの英語はGeneral Governmentで「一般政府」という訳語の方が適切かもしれませんが、ここでは、意味合いを考えて政府諸機関と中央銀行を連結している場合に使用される「統合政府」という言葉を選択しました。単位は何れも 対GDP比%です。

大変字が小さくて恐縮ですが、これらの主要項目についてグラフ化していますので、下図をご覧ください。まず中央政府と統合政府(日銀を含む関係省庁団体の連結)の金融資産、総負債、純財務資産(=金融資産-総負債)です。(本来こうしたグラフでは負債はマイナス側に書くべきかもしれませんが、掲載されている表のとおりにプラス側にプロットしてあります。以下すべて同じです。)

金融資産は中央政府と統合政府でほぼ同じですが、債務の総額が統合政府では大幅に圧縮されており、その結果、純財務資産のマイナスも統合政府では大幅に圧縮されていることがわかります。

債務が大幅に圧縮されている理由は負債証券(国債)を見ると明らかに理解できます。中央政府では対GDP比200%に達しているのに、統合政府では50%にも満たない金額になっているからです。

次に貸借対照表全体を見てみます。中央政府、統合政府の総資産、総負債、純資産(=総資産-総負債)です。

中央政府と統合政府で大きくグラフの様相が違っています。先ほどの債務については同様に統合政府で圧縮されているのですが、総資産の形が全くことなります。総資産は金融資産と非金融資産に大別されますが、金融資産は中央政府と統合政府でほぼ同じであったことは先ほど確認しましたので、左右のグラフが全く異なる形状である理由は、非金融資産が大きく異なっているであろうと推定されます。事実非金融資産は2000年以降で大きく増加しています。

最後に日銀の貸借対照表をご紹介します。日銀の貸借対照表のほとんどの金額は、資産が負債証券で、負債が通貨および預金で占められており、その両者はほぼ同一の軌跡をたどっています。(下図)

つまり日銀は2012年以降国債を大量に購入・保有し、それに見合う預金を負債として増加させてきたということになります。

以上がIMFに掲載されていた2000年から2020年における日本のPublic Sector Balance Sheetの概略です。IMFとしては、日本銀行も含めて形での統合政府という見方をしており、統合政府という観点からは、負債のうち国債が大幅に圧縮されることになります。しかし一方で統合政府の純財務資産もマイナス(約200兆円)となっていること、統合政府の総資産のほとんどが非金融資産であることなどが気になる(売却や現金化が難しい)ところです。

このPublic Sector Balance Sheetには各国の財政状態についてIMFの報告書が付属されています。明日・明後日はその内容についてご紹介したいと思います。

コメント

コメントフォーム

To top